「義経千本桜」といえば桜が真っ先に思い浮かびますが、こちらの段では紅白の梅が咲いています。 平面に描かれた山の遠見や鳥居と、鳥居の形に切り出されたパネルをうまく配置することで、奥行きを感じる舞台になっています。
最初は御簾が下りていますが、太鼓の音と共に大道具方が御簾を巻き上げます。 前段に続き、舞台上部には糸桜が吊るされています。金色の壁にも桜が描かれています。
最後を飾る大がかりなケレンは「宙乗り」です。人形を持った人形遣いが舞台上を飛行します。人形が宙に浮く動きに合わせて館はセリと呼ばれる舞台機構により下がっていき、大前手すりがパタンとひっくり返ると桜の絵に変わります。上空から見る満開の桜が物語の終幕を彩ります。
終盤に小屋は上手へハケていき、下手から大船が出てきます。船のパネルを立てた台車に、大勢の人形遣いが乗り、大道具方が人力で押し出していきます。
背景には牡丹や菊など四季の花が一時に咲き乱れています。色とりどりの花が描かれた舞台は、照明によって妖艶にも優雅にも、様々な表情を見せます。
毎年恒例のにらみ鯛と大凧が舞台上部に掲げられています。にらみ鯛は、関西各地で新年の縁起物として親しまれてきたものです。凧には今年の干支「寅」の文字が書かれています。
【寺入りの段】 【寺子屋の段】
ここも返しによる転換が続きます。質店の屋台が舞台奥に下がり、上手からは蔵が下手からは屋台が押し出されてきます。